12/15 Thu - 1/10 Tue

高橋宣之「神々の水系」写真展&トークイベント

はるかな山の頂で、数えきれないほどの月に出会ってきた。熟した果実のような月もあったし、威圧的な月もあった。時には美しい恐怖を秘め、時には糸のようにやせ細り、そしてまた、優雅な気品にあふれた月のすがたがそこにあった。
はるかな厳冬の森で、数えきれないほどの氷の結晶にも出会ってきた。澄み切った光を放つ氷柱や霧氷の結晶、時には枯れたアキチョウジの茎から延びる霜柱が飴細工のような造形を見せてくれた。冬の森は不思議な光景に満ちていた。
はるかな山の向こうで、数えきれないほどの集落にも出会ってきた。村人がいなくなった集落には桜だけが咲いている風景が現れ、かろうじて人のにおいのする限界集落では犬の遠吠えが聞こえていた。そんな場所で道端のお堂を開けると、小さな仏像や、神像、神馬像などが散乱している。神々はすでにいなくなったのか。
展示している写真は主に深い森の森羅万象や、里山にひっそりと残っている祭りや風物にレンズを向けたものである。目を閉じると神楽太鼓が鳴り響き、粛々と舞進む神々のすがたが浮かんでくる。
高橋 宣之

【開催概要】
高橋宣之「神々の水系」
会 期:2022年12月15日(木)~ 2023年1月10日(火)
時 間:10:00~17:00 *12月30日(金)~2023年1月5日(木)は年末年始休館
会 場:東川町文化ギャラリー 第一・二展示室
入館料:100円(中学生以下無料)
主 催:写真文化首都 北海道「写真の町」東川町

【トークイベント】
高橋宣之さんによるトークを開催します。
撮影時のエピソードや、本展覧会に至るまでのお話などが伺える機会となっております。
日 時:12月17日(土)14:00~15:30
会 場:東川町文化ギャラリー
参加費:100円(中学生以下無料、入館料を含みます)

<お申込み>
参加ご希望の方はコチラのお申込みフォームにご記入のうえご送信ください。



【プロフィール】



高橋宣之 Nobuyuki Takahashi

1947年高知県生まれ。
1969年スペイン政府名誉留学でサラゴサ大学に3年間学ぶ。
1972年帰国後、高知に戻りフリーランスの写真家となる。コマーシャルフォトのかたわら、「海」「土佐」の写真作品を制作。カメラ雑誌等に発表。
1978年ドイツ、ケルン、フォトキナ展招待出品。
1980年ドイツ、ハンブルグMUSEUM FÜR KUNSTUNG GEWERBEに作品が永久保存される。
1981年 写真展「波」(銀座ニコンサロン)。
1987年「波」を撮りはじめて以来十数カ国の海を見てきたが、一つの憧れである「最果ての海」に魅せられ、マゼラン海峡の取材に入る。
1989年「土佐の四季」「仁淀川」「花鳥風月」などをテーマに作品を制作。
1995年 写真展「SEASCAPE」(キヤノンサロン 東京・札幌・名古屋・福岡・大阪)。
2006年 写真展「光の造形」(ポーラ ミュージアム アネックス)。
2007年 写真展「煌く水」(ポーラ ミュージアム アネックス)。
2010年よりEOS 5D MarkⅡによる動画撮影に入る。
2011年 平成23年度文化庁芸術祭参加作品 NHK「仁淀川」-知られざる青の神秘
で動画映像を発表。
2022年 写真展「神々の水系」(キヤノンギャラリーS)。