テーマが「Home」ということで、やはりコロナ禍における自粛期間の過ごし方に焦点を絞ろうと考えつきました。この度の「自粛」ですが、目的は「生き残ること」ですよね。ですので生命活動の中で最も重要である“食事”をコンセプトに、家の中での風景を切り取りました。そして最も意識したのは色づかいで、興奮、気分の高揚を感じさせる“赤”を家での日常に落とし込みました。より写真に生命力を与えたかったのです。

コロナ禍の自粛期間、生きること、すなわち食べることが大事だ！というところまで考えを飛ばした発想力。食べるというテーマをこの色彩で描いた大胆さ。驚きました。一見おどろおどろしいようで、食べることへの人間の欲求が力強く表現されました。画面内にニョキッと伸びる手が食材を掴む。この生々しさが見る人に刺さります。唯一後ろ姿で表現した写真。光がよく一点で見れば良いのですが、他の２点と合わさるとすこし弱く見えてしまいます。この一点がもう一歩強くなればさらに良かったと思います。（公文）

不気味な赤のライティングが、まさに緊急事態に直面しているようで危機感が湧いてきます。さらに、警告を受けているような乱暴なタイトルが焦りを助長させます。何処よりも安心できるはずの自宅を舞台に、それを非日常に変化させ、見る者をとことん不安な気持ちにさせようとする作者の目論見が成功しています。中央の写真に現実的な雰囲気が出てしまったのは惜しい。切り取り方を統一すると完成度が増した作品に仕上がったと思います。（鶴巻）