岡村貴弘さん(北海道旭川市出身)
移住して15年
この町には語れる要素がいっぱいあるんです

父が仲間と立ち上げたオーダー家具の会社を引き継ぎ、近年はオリジナル家具の開発にも着手。家具作りに必要なインフラが整っていること、また空港が近いことなどを力に、地元産材を使い「誰」が「どこの木」を使って作った家具かが見える仕事にも積極的に取り組んでいます。


岡村さんが社長を務める「ウッドワーク」はオーダー家具製造会社。東川振興公社(町の第三セクター)に子供用椅子の製作依頼で声をかけられたことをきっかけに、10年ほど前からはオリジナル家具も展開しています。2年前には工場の一角にショールームを設けました。「エンドユーザーである地元の方と触れ合える場所を作ったことで、僕たちのモチベ―ションも上がりますし、声を反映して手に取りやすい価格帯のオリジナル家具の開発を進めることができました」。元々家具職人の多い土地柄ゆえインフラが整っていたことは、「東川で仕事をしていてよかった」と思うことのひとつ。本州からのお客様が多いこともあり空港から車で約15分という利便性の良さにも助けられています。別のエリアからのお客様とは必ずランチに出かけるそう。「その後大雪山の山並みを見ながらコーヒーを飲むと、みなさん町のファンになってくれます。新しく整備された「せんとぴゅあ」(東川町複合交流施設)や東川小学校にお連れすると『何なんだこの町は』と驚かれますね。この町には語れる要素がいっぱいあるんですよ」

趣味の登山で自然の恩恵を実感。
未来に豊かな資源を残したい

子育てにいい環境だからと、15年ほど前に隣町から夫婦で移り住み、娘2人にも恵まれ生活の場も東川町になりました。初めて登った旭岳で「人工物のない景色にすごく魅力を感じたんです」と、登山が新しい趣味に。山で木々を見るにつけ「こういう自然の恩恵を受けて自分の仕事が成り立っているんだ」と感じているそう。「今、『その家具はどこの木を使って誰が作ったのか』が見えることがすごく大事になっています。僕も入っている旭川の組合では、この地域のナラやクルミ材を積極的に使う取り組みをしているので、そこはアピールしていきたいですね」。
かつてこの地域はナラ材の宝庫でした。大量伐採で数が激減した後、少しずつ数が回復してきている状態です。組合では年に1度植林イベントを行っており、岡村さんもお客様を誘って参加しています。植えた木が使えるようになるのは少なくとも100年後。岡村さんが使うことはおそらくありません。それでも未来のために。木を使っている者だからこその役目と話します。