正垣智弘さん(千葉県出身)
芳苗さん(新潟県出身)
玲三郎くん(幼児)
移住して7年
帰ってきて、東川の水で
ご飯を炊くとホッとします

夫は仕事で忙しく妻がひとりで子育てを担う、という生活を、東日本大震災を機にリセット。豊かな水資源に引かれて東京から東川町に移り住みました。暮らしはじめてからは、この町に魅力を感じ集う人が生み出す力にも注目しています。


夫婦2人での朝のコーヒータイム。東川町に住みはじめてからできた正垣さん夫婦の習慣です。以前は東京で暮らしていましたが、智弘さんは仕事の都合上夜勤や宿直もある生活。芳苗さんはまさに「ワンオペ」状態で3人の子育てに追われていました。いつかいなかで暮らしたい。そんな思いが具体的に進むきっかけとなったのが2011年の東日本大震災でした。「いつかはない。今動かないと!」という思いで、芳苗さんが元々好きだった北海道を「住む場所」として見てまわり、目に留まったのが東川町でした。決め手となったのは全戸が地下水で暮らす、という水の豊かさです。「震災の時に物がない暮らしを経験したので、安心な水が飲めるということがとても貴重なことだと思いました」と振り返ります。移住して年月が経つと水の豊かさ、おいしさも日常となりますが、智弘さんは千葉の実家に帰ると当たり前になりつつある東川町の水が、やはりすごく豊かなものだと気が付くそう。「東川に戻ってご飯を炊いて、みそ汁を飲むとホッとするんです。『帰ってきた』がもう東川に戻ってくることになってしまいました」と笑います。

自分たちがいいと思って移り住んだ
東川の魅力を伝えたい

当初は、智弘さんが車で20分ほどの北海道第二の都市、旭川市へ働きに行くことも考えましたが「同じ仕事に就いたら東京時代と生活が変わらない、変わらなくなってしまう」と、宿泊施設「Villaニセウコロコロ」を開業。3棟の建物それぞれを1棟貸しし、子ども連れでも気兼ねなく過ごせます。宿泊客が好きなタイミングで作って食べられる朝食セットには、町内の生産者によるパンや野菜、卵にベーコンをそろえました。「私たちが好きで移住した東川町の魅力をみなさんにお伝えしているだけ」と話す智弘さんですが、宿の常連客がその後移住を決意した例がすでに10組ほどいるのだとか。改めて東川のいい所は?とお聞きすると「やはり水がおいしいこと。あと景色のいいところ。そして人ですね。いろいろな人が集まっておもしろいことが生まれる場所になっています」