町に住む

INTERVIEW 美しく生きる人たち

轡田芳範さん(北海道滝川市出身)
紗世さん(北海道旭川市出身)
移住して5年

移住と開業は、
大変でも
やる価値のあることでした

栽培段階から品質管理がしっかりなされたスペシャルティコーヒーを味わう店として。また大雪山がきれいに見える場所として町内外にファンの多い「ヨシノリコーヒー」。開業までは平坦な道ではありませんでしたが、その苦労の甲斐のあった空間に育っています。


何気なく一冊の本を立ち読みしたことからコーヒー豆の焙煎の世界へどっぷりとはまってしまったという芳範さん。旭川市で会社員として働くかたわら、焙煎したコーヒー豆を知り合いに譲っていましたが評判が評判を呼び、ついには家族で移り住むことにした東川で出店することに。ただし、当時は焙煎コーヒー豆専門店として、でした。芳範さんは会社員を続け、お店は紗世さんが切り盛りしていましたが、1年目から反響があったそう。「ちょうど東川に観光客が増えた時期だったんです。コーヒーを高品質な食品として提供するサードウェーブコーヒーの流れが来た時期でもあり道北ではスペシャルティコーヒーはうちしか出していなかったので…。お店をはじめたタイミングがすごくよかったと思います」

コーヒーを求め集まった人々が
独自に築いていくコミュニティ

安定した生活のために芳範さんにはなるべく会社員を続けてほしいと思っていたという紗世さんですが、芳範さんが過労で倒れたことで考えを改め、夫婦でお店をやっていくことに。「コーヒーも飲みたい」という声に応えテイクアウトを始め、「ここで飲んでいきたいんだけど」と言われて自宅スペースを開放するなど少しずつ営業形態を変え、現在の形に落ち着きました。お店ではいつの間にかお客様同士がつながり仕事に発展していたり、プロポーズの場所になっていたり。コーヒーを飲みに来た人同士が独自のコミュニティを築いています。「総合的に、すべてがこの土地に来ていないと生まれていなかったことだと思います」と芳範さんは話します。
実はこの場所を購入した時、敷地内には母屋があり、そちらを住居にする予定でした。しかし諸事情から当初の予定が大幅に変更に。当時紗世さんは妊娠中でもあり「いろいろ重なって、人生の何年分の経験かというくらいきつかったです。でもこの町を選んでよかった。役場の方々にも目を配っていただき、仕事上だけでなく人間的なお付き合いをしてくださってる。苦しい思いをしても東川への移住はやる価値のあることだったなって思います」。

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