東川らしさ

 

#02 家具の町

  
 

4月14日は「椅子の日」

  

 

4月14日は「椅子の日」。東川町が2021年に制定しました。ご存じでしたか。
北海道で唯一上水道がなくすべての町民が地下からの天然水で暮らす町。「ゆめぴりかコンテスト2019」で最高金賞を獲得するほど美味しいお米の産地。1985年、世界に類を見ない『写真の町宣言』をおこなった写真の町。「東川町と言えば」と語られるそれらの言葉たちに少し隠れている印象があるかもしれませんが、東川町は「家具の町」でもあるのです。木工家具産業は生産額も就業人口も町で一番の産業で、家族まで含めると、なんと町民の約40%が木工家具産業に関係しているほど。 

  
 

 

木を無駄にしない

  

日本五大家具産地のひとつとして知られる「旭川家具」の約30%は、東川町で作られています。それほど林業が盛んなわけではなく、歴史的に「伝統家具」が古くからの産業としてあったわけではないのに、東川町が家具の町であるのはなぜでしょう。
町の家具づくりはもともと、農業従事者の冬の仕事。出稼ぎに行かなくても雇用が確保できるという理由で営まれていました。そして1954年、洞爺丸台風が町を襲い、町に倒木が散乱したことから、町の家具づくりは一気に広がったそうです。「家具の町」東川町は、林業からの派生ではなく、「倒木を無駄にしてはならない」という、資源の有効活用の発想から生まれました。
時代とともに需要の変化に合わせ、大型の置き家具から椅子やテーブルなどが主流となってきた家具は北欧系のシンプルなデザインで、技術力とデザイン性に優れた高級家具。約30もの事業所がお互いに技術協力をしながら、今も「旭川家具」のブランド力の向上・発展に貢献しています。


 

 

  

家具づくりへのあこがれを

 

椅子研究家である織田憲嗣氏による「織田コレクション」が飾ってあったり、建築家である隈研吾ととともに「KAGUデザインコンペ」に取り組んだりというだけではなく、「君の椅子」や「学びの椅子」の事業を通して町の子どもたちが木の家具に触れ続けられる機会を提供したり、町でつくられた家具が公共施設に使われひそかなショールームになっていたり、町のカフェやレストランでは町のライフスタイルイメージのひとつとして町でつくられた家具が馴染んでいたり、「クラフト街道」と呼ばれる通りがあったり、町のあちこちのお店で木彫看板が掲げられていたり、町職員の職員証までもが木のフレームでつくられていたりと、町には木の家具やクラフトたちが溢れています。
町の家具づくりを経済活動のなかで成り立たせ続けるとともに、産業として「あこがれ」をどう育んでいけるか。その発想は、町が将来的に進めようとしている、家具や建築デザインを中心とした総合的なデザインミュージアム構想にもつながっています。