東川らしさ

 

#08 東川町立東川日本語学校


  
 

日本で初、唯一の公立の日本語学校

  

 

日本で初めて、唯一の公立の東川日本語学校は2015年、その前身となる2009年からおこなわれてきた短期日本語・日本文化研修事業が結実し、開校されました。韓国の学生が「日本で日本語を学びたい人はたくさんいますよ」と発したひとことから一気に機運が醸成されたとのこと。
東川日本語学校は今や町の国際交流事業の中心とも言えるほどで、町が目指す「適疎なまちづくり」や関係人口の増加にも貢献しています。 

  

4,000名を超える「町の修了生と卒業生」

 

2009年の短期日本語・日本文化研修事業から数えて、これまでに東川町を「修了」した観光ビザで来た研修生は3,500名、留学ビザで来た卒業生は500名で合わせると4,000名を超えます。台湾、タイ、中国、韓国、ベトナムに設けられている町の海外事務所や、インドネシア、モンゴルにある協力事務所が日本語学校の広報から募集、町への送り出しまでを担ってきました。
留学生の出身地は、韓国や台湾、中国、タイ、ベトナムのほか、モンゴル、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパール、ウクライナ、ウズベキスタン、マレーシア、マラウイ、シンガポール、アメリカ合衆国、オーストラリア、ブルネイ、メキシコ、アフガニスタンなど、本当にさまざま。東川町で多国籍交流をしながら日本語を学んだ卒業生たちの多くは、国内の大学や専門学校に進学したり、国内で就職したり、母国に帰って日系企業に勤務したりと、日本語を活かせる進路を選択しています。
 

 
   

 

近隣市町からの企画持込も

 

留学生の受け入れ当初こそ、「夜、外国の子たちが集まっているから怖い……」などという町民の声も聞かれたそうですが、留学生たちが暮らす寮の場所や門限などを丁寧に伝えたり、留学生たちの活動を毎月『Newsレター』として作成し回覧したりという活動により、「留学生個々人が見える」取組を続けた結果、町民にも安心感が生まれました。留学生によるトラブルはほとんどなく、仮に多少のトラブルが起きたとしても「どこの誰だかすぐ分かる」から、すぐに解決します。今では、「せっかく来たんだから、楽しんでよ~」と、町民の留学生に対する「見守り感が、すごい」(東川町多文化共生室・山口ちえ室長)ことになっているほど。
留学生たちは東川日本語学校で日本語を学ぶかたわら、町内外でアルバイト、留学生同士で企画したイベント運営、小学生との授業交流町民との餅つき大会や手芸、65歳以上の町民とのおぜんざい交流などを通して「町民」としてすっかり町にとけ込んでいます。
最近では、町内だけではなく近隣市町の住民からも、留学生との交流を目的とした企画の相談が持ち込まれることも増え、より一層「開かれた」留学環境が整っています。   

  

未来への想い

 留学生の卒業後も日本で安心して暮らせるように送り出したいという想いから、町では自治体連携も進めています。また、卒業後もLINEグループで繋がっており、卒業生たちの人生相談に乗ることも。
日本に来る理由が失われつつある昨今、縁あって東川町で学び、「第2のふるさと」東川町を巣立つ卒業生たち。日本を大好きになり、自分の出身国や就職先の企業のために頑張り、国籍を超えて交流し助け合い、その結果、日本もまた良くなっていくというような、世界に貢献できる人材が東川町から数多く輩出されていく――。さらには将来、卒業生たちが家族を連れて町を訪れたりその子どもたちが東川町へ留学にやって来たりという未来を想いながら、東川日本語学校の取組は続けられていきます。

   

 
 

 

 
 

 

 
 
 

私が一番好きな光景

東川日本語学校は多文化共生室の主管ですが、留学生ひとりひとりが東川町での時間を幸せに過ごして欲しいなと思うため、私たちだけで判断するのではなく、なんでも留学生たちの意見を聞いてみるようにしています。いま出会った人を大切にし、いま実現できることをやってみる、その積み重ねが、世界も未来も繋がっていくことになりますから。
留学生を見ていて、私が一番好きな光景は、初雪の日。雪を見たことのない留学生たちが母国にいる家族や友達にスマホを繋いで喜んでいる姿は、何度目にしても本当に感動しますね。
(東川町多文化共生室・山口ちえさん)

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