東川らしさ
#13 東川町文化ギャラリー


写真文化首都「写真の町」を標榜する東川町の象徴的な施設のひとつが「東川町文化ギャラリー」です。東川町では1985年6月に「写真の町」を宣言、第1回の東川町国際写真フェスティバルから東川賞の受賞作品展を始めましたが、当初は専門的な施設がなく、公共施設等にパーテーションを立てて展示していたそう。しかし写真の町宣言をした以上は、町として文化発信のための拠点施設を作るべきだ、ちゃんとしたギャラリーで東川賞受賞作家の作品を展示すべきだという声が上がり、1989年11月3日、東川町文化ギャラリーが誕生しました。現在の東川町文化ギャラリーは大規模な増改築を経て2021年3月にリニューアルオープンしたもの。国内外から年間15,000人ほどの人たちが訪れています。
ギャラリーは日常を豊かにする “入り口”


東川町文化ギャラリーは、いわゆる写真を中心とした芸術作品を展示する「ギャラリー」、撮影用補助機材なども一部準備されている「スタジオ」、誰でも気軽に利用できる「ラウンジ」と、大きく3つの機能を有しています。
メインスペースである「ギャラリー」では、毎年7~8月の東川町国際写真フェスティバル受賞作家作品展のほか、年に3回程度、ゴールデンウィークやシルバーウィークに合わせてそれぞれ1か月間ほど開催される大型の企画展、日本写真協会の東京写真月間など他の団体や美術館などの作品展のパッケージ企画や再構成企画として催される巡回展、一定の審査基準をクリアすれば町民はもちろん国内外の人たちが作品展示できる公募展など、年間を通していつも写真文化に触れる機会が提供されています。
東川町文化ギャラリーでは作品展示だけでなく、トークイベントやワークショップなど、展示に合わせて作家との交流の場が設けられたり、教育的な観点から高校生との連携事業を実施したりということも。
「写真を通して『こんな世界があるんだ』と気付いてもらうことでも『写真って面白いんだな』と感じてもらうことでもいい。特に町民のみなさんがもっと写真に触れ日常を豊かにすることのできる“入り口”になるような展示ができたらいいな、町の子どもたちにもたくさん見てもらいたいな、そのためにどうしたらいいかな、といつも考えています」(写真の町課・𠮷里演子さん)。
スタジオはアイデア次第、ラウンジは気軽で親しみやすい居場所




一方「スタジオ」は時間貸しで運営しています。地域の家具事業者が自社の大型家具の商品撮影で使うこともあれば、道外の民間企業が北海道の大自然でのシチュエーションカット用のロケ撮影とスタジオでの商品撮影をまとめておこなうために使ったり、セミナー・イベント会場として使ったり。ほかには、写真が趣味の夫婦がお子さんの誕生記念のため“うちの撮影スタジオ”として使ったり、高校生が借りて地元の写真家から学びつつ自分たちの作品を創る場所として使ったりなど、使う人のアイデア次第でさまざまな利用方法が生まれています。
また、無料で利用できる「ラウンジ」は、ギャラリーの作品展示を見終わって休憩する場所としてはもちろん、仕事や友達同士の集まりなどにも使え、飲食できるスペースとして運用しています。なかには“ギャラリー”や“文化施設”という言葉にどうしても敷居が高いと感じてしまう人もいるようですが、写真の町課の吉里さんは「もうちょっと日常の一部として『特に用事はないけどなんかギャラリーに来ちゃった』ぐらいの、気軽で親しみやすい居場所みたいなところになったらいいな」と話します。
職員にも町民にも、もっと






この東川町文化ギャラリーでは2025年秋から新しい取組も始まっています。その名も「ギャラリーアートウォーク」。写真の町40周年を機にした町職員の研修事業として位置付けられました。写真を中心とした文化的な作品を鑑賞し、それぞれが感じたことを自分の日々の仕事にも活かしてほしいという思いから企画されたこの取組は、町職員が東川町文化ギャラリーのスタッフとコミュニケーションを取りながらギャラリー内を見てまわるもの。月に2回程度実施されています。
作品鑑賞後にはラウンジでコーヒーを飲みながらの意見交換会。参加した皆で作品の感想や気付きを話し合ったりするざっくばらんな会で、おしゃべりに花が咲きついつい予定時間を過ぎてしまうことも。これまであまり話したことない職員同士が積極的に交流する機会にもなっていて、実際、ギャラリーアートウォークを通してインプットとリフレッシュを体感した職員たちからも好評で、町職員の間で「一度参加してみたけど面白かったから、行ったほうがいいよ」などと庁舎内でひそかにクチコミが広がっています。また、これまでギャラリーとは縁が薄かった職員の中にも、展示が変わるたびに来館するようになったり、もう一度じっくり観たいからと休日にひとりで足を運ぶようになったりなど、早くも“常連さん”が生まれ始めています。






そして、東川町文化ギャラリーでは2025年末より、この取組の町民向けバージョンである「文化ギャラリーに行ってみようツアー」にもチャレンジしています。「単に作品が展示されているだけの施設ではなく、東川町文化ギャラリーは『写真の町』という東川町の根幹の上に立って運営されている施設であるため、町民の皆さんにもっと知ってもらって、その時々に展示されている作品からいつもとちょっと違ったことを感じてもらえたら嬉しいし、鑑賞後にはラウンジでコーヒーを一緒に飲みながらワイワイお話ができたら。あまりカチッとしたものじゃないんですけど、ちょっとフラッと来て、楽しんでほしい」(同)と、予約なしで参加できる機会を毎月3回程度、1日3回の頻度で設け、41年目を迎えた「写真の町」をさらに、東川町文化ギャラリーを挙げて推進しているところです。

