東川らしさ

 

#15 予約型乗合バス「しずくらいん」

   
 
 
 
 
  
   
 
 

東川町では2025年、予約型の乗合バス「しずくらいん」の本格運用を開始しました。
町にはこれまで、のりあいタクシー、定時定路線型の町営バス、学童保育の登下校や少年団活動の送迎、西部地区の下校送迎、5つの自治振興会による“みまもりカー”という共助型の交通サービスなどがありました。それぞれ目的やニーズに即して運用されてきましたが「さらにもう少し使い勝手がよくならないか」などという利用者の声に応え得る交通サービスはいったいどのようなものだろうと2023年から2年間の実証実験を重ねてサービスインしたところです。

    
 
 
 
  
 
 
 
  

暮らしの多様化に伴うニーズの変化に適応

   
 
 
  
   
  
 
 
  

その背景には、子どもや学生から高齢者まで幅広い年齢層に適した利便性の向上はもちろん、運行調整など交通サービスを運営する側の負担軽減のためにも、複数併存していた交通サービスの一本化を目指したいということがありました。
と同時に、増えている移住者のニーズの変化ということもありました。町が整備した分譲地だけでなく、かつて農家さんが居住していた農家宅地にも人の暮らしのエリアが広がっていることに加え、町での暮らし方の多様化が進むなど、新しく生まれてくる複数のニーズを町としてどう補完できるかということも考えていくべきタイミングでもありました。

  
 
  

実証実験や町民アンケートなどをもとに検証を重ねた結果、しずくらいんでは、定時定路線の交通サービスの拡充から発想を大きく転換し、利用者の予約によって運行ルートが決まる予約型乗合バスという方式が採られました。

とは言うものの、交通サービスは暮らしに直結するものです。昨日まであったサービスが今日から全て変更になりましたというのでは町民生活に混乱が生じます。したがって、2025年4月からは町ののりあいタクシーの一部を予約型の乗合バスに変えてスタート。9月には、小中学生の登下校時に予約型で運行するという実証実験を経て、10月に現在のカタチに移行しました。

  
 
 
 
    
 
  
 
  

予約状況からAIが運行ルートを判定

  
 
 
  
   
 
 
 
   

しずくらいんは現在、最大4台で運用しており、予約状況をAIが判断してその日その時間のルートが決まる仕組み。中心市街地はもちろん農家地区も含めて全部で38のポイントを置き、とりわけ「お隣りさん」まで歩くのにも時間がかかる農家地区の利用者の利便性も考慮して、①ポイントからポイントまで、②利用者の任意の場所(農家地区のみ)からポイントまで、③ポイントから利用者の任意の場所までと、柔軟な乗降指定が可能となっています。今では12月31日から1月5日の年末年始運休以外は毎日運行しています。

  
 
  

しずくらいんの登録者数は全体で1,500人を超え、そのうち町内人口の16%余にあたる1,409人の町民が登録済み(2026年1月21日現在)。2025年10-12月期の利用者は10,393人で、実証実験を実施していた前年同期比153%となりました。とりわけ年末は想定以上に利用者が増えたことから満席で予約ができない事象も発生し、「嬉しい反面ちょっと悩みでもあったので、今後の改善ポイントのひとつです」(適疎推進課・大泉幸恵さん)というほど、町の生活交通としての定着化が一気に進んでいます。

   
 
  
 
 
 
  
 
  

ひと手間くわえて「地域が見える」サービスに

  
 
  
(適疎推進課・窪田さん、大泉さん)
 
 
 
    

その一方、新しい挑戦にはもちろん、課題はつきものです。
実証実験からの運用で分かった最も大きな課題のひとつが、AIによるルート判断の精度でした。「AIだけでは、どうしても『地域が見えない』場合がある」(適疎推進課・窪田昭仁さん)。たとえば、AI判断のルートではある児童が1時間も乗車しなければならない設定になっていて、AIのルート判断はたしかに“間違ってはいない”ものの、その児童が不安に耐えられず知らない場所で思わず降りてしまったり降りるべきポイントを通り過ぎてしまったりというような懸念も。AIは、成長段階のため児童の乗り降りの“実態”をデータとして蓄積している過程であることから、しずくらいんのスタッフたちは日々、AIによって自動で出される運行ルートをひとつひとつアナログでチェックし、AIによる効率最重視の判断にひと手間を加えて「地域が見える」サービスになるよう、オリジナルのルートに仕立てて運行しています。

  
 
 
 
  
 
 
 
     

しずくらいんは生まれたばかり。この他にも、関連事業者との調整、予約システムのブラッシュアップ、予約が入ることで初めて運行ルートが決まる予約型乗合バスの特性の普及・啓蒙、運行時間の拡充・調整、データやニーズに基づく学生専用便の一般利用開放、観光利用・広域運行、自助・共助・公助のあるべきバランス等など、多くの課題があります。しかし「良い交通サービスなので、このサービスをしっかりとより良いものにしてほしい」などという町民のみなさんからの言葉に背中を押されて、しずくらいんはこれからも、どんどんブラッシュアップされ「地域が見える、まちの足」へと進化していきます。